世界のワインのコラム

ドメーヌ マルシャン・フレール 造り手を映し出す、端正で温もりのあるワイン

ドメーヌ マルシャン・フレール

ドメーヌ マルシャン・フレールは1813 年から8 世代にわたり続く歴史あるドメーヌです。現当主ドニの父クロードは、1983 年にジュヴレの中心に位置する地下にセラーを持つ古い栽培家の家屋を買い取り、ドメーヌを拡張しました。1999 年から、クロードの次男のドニがこの伝統あるドメーヌを継承しています。
ドニ・マルシャンは元々、ドメーヌを引き継ぐ予定では無く、兄のジャン・フィリップがネゴシアンを始めたためドメーヌに呼び戻されました。兄のジャン・フィリップは外交的な性格で人と会って話すことが大好きなタイプであるため、ワイン造り以上にブドウ生産者との交渉や販売などの方に興味があり、自らネゴシアンの道を選んだのです。それに対して弟のドニはとてもシャイな性格です。ドメーヌは必然的に弟のドニが引き継ぐことになったのですが、シャイで寡黙で、探求心の強いドニにはピッタリの職業だったのです。

そんな違った道を進む兄弟ですがポリシーは同じ!良いワインを造る事は当然として、余りに高価になりすぎるブルゴーニュのワインの現状に対して「出来る限り高品質なワインを、出来る限り求めやすい価格で」ということを方針としています。

マルシャン・フレールのブドウ畑

ドニ・マルシャンは学校を卒業後、化学薬品の会社の農薬の部門で働いていました。必要な時にだけ、何をどのように使用すれば良いかを熟知した厳密な散布を行うことができるため、彼は本来の意味でのリュット・レゾネを実践しています。自然な農法にこだわっており、葉で畑の風通しを良くしてカビの発生を防ぎ、除草剤は使用せず軽量なトラクターを使っての鋤入れで対処し、病虫害の対応にはフェロモン・カプセル等で対応するなど、限りなくビオに近い栽培法を実践しています。

ドメーヌ マルシャン・フレールは、下記の畑(全部で9ha)を所有しています。
【村名の畑】ジュヴレ・シャンベルタン、モレ・サン・ドニ、シャンボール・ミュジニー
【1級畑(プルミエ・クリュ)】ジュヴレ・シャンベルタン レ・コンボット、モレ・サン・ドニ クロ・デ・ゾルム、シャンボール・ミュジニー レ・サンティエ
【特級畑(グラン・クリュ)】グリオット・シャンベルタン、シャルム・シャンベルタン、クロ・ド・ラ・ロッシュ

端正なスタイルを貫くワイン造り

ブドウと環境に最大の敬意をもって接しており、全てのブドウは手摘み収穫。選果は畑と選果台での2回行い、畑での選果では、房の中に欠陥果があれば房ごと破棄します。発酵時には天然酵母を使用し、醸造においてもできるだけ手作業で行う事にこだわり、樽の使用、除梗率、熟成期間や抽出方法など、それぞれのアぺラシオンやヴィンテージに合わせた方法を選択するという、オーダーメイド的なワイン造りを行っています。

その丁寧な仕事からうまれるワインは、ピュアでエレガント!旨味が感じられる優しい味わいで、早い時点から心地よく味わえるワインですが熟成により、より複雑な味わいと滑らかさを表現できるワインです。
ブルゴーニュ ルージュからグラン・クリュまで、ワインの持つ力の違いはあるものの、味わいのスタイルは一貫しています。

正統派のブルゴーニュワインとして高まる評価

ドメーヌのワインに対する評価は上昇を続けており、アシェット、ゴー・ミヨ、レ・ヴュー・ド・ヴァン・ド・フランス等では高い評価が与えられています。

日本においてもリアルワインガイド61号で「由緒正しいブルゴーニュの味がする」と絶賛されました。

―リアルワインガイド 61号よりー
つくりは終始一貫して伝統的であり、何のギミックもない正統派だ。日本では未だなじみが薄いけど、どこかで見つけたら味わってみてほしい。それは進化のただなかにあるブルゴーニュにおいて、味とスタイルがド真ん中に位置づけられるようなワインであり、純粋な美しさを比較的お手頃で楽しめるから。
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温厚な人柄のドニ・マルシャンが誠実に丁寧に生み出す、端正で温もりのあるワイン。味わいの中にある優しさはドニ・マルシャンその人を表現しているように感じます。大きな生産者と異なり、自ら手をかけて育てたブドウを使って丁寧にワイン造りを行うドメーヌ、個性豊かな小さな造り手たちのまさにハンドメイドなワインは、産地や造り手を映し出す鏡といえるでしょう。

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