フランス　ブルゴーニュのシャブリは一時、辛口白ワインの代名詞と言われた時代もありました。牡蠣とシャブリの相性も盛んに喧伝されました。その後、世界各国で辛口白ワインの生産が高まり、一時、シャブリは過去のワインの様に言われました。生産者達はシャブリにしか表現できない味わいを追求し困難な時期を乗り越えて、再び注目を浴びています。それはシャブリの歴史そのものでもありました。


18世紀には大量のワインをパリに出荷していたシャブリ。2度の大戦や様々な困難によりブドウ畑は僅か550haに減少し、その存亡さえも危ぶまれる時期を乗り越えて、1970年代にアメリカ市場での爆発的な人気急騰により世界中で辛口ワインの代名詞と言われるようになりました。そして生産者によってはそれまで放棄された畑や元々葡萄栽培に不向きな場所まで開墾し畑を広げ、急激な生産増によって出来上がったワインはシャブ・シャブ・シャブリ等と言われた時代もありました。

そんな中、1950年代の困難な時期を乗り越えてシャブリを作り続けた10数ファミリーが中心となり自らのワイン造りの哲学を継承して本物のシャブリを造り続けて来ました。ドメーヌ　ジャン・コレもその中の一つと言えましょう。
コレ・ファミリーではジャンが1950年代に、その息子ジルは1979年から、そして2008年からはジルの息子のロマンがこのドメーヌを引き継いでいます。（写真は1952年、ドメーヌ　ジャン・コレのシャブリ プルミエ・クリュ ヴァイヨンでの収穫風景。写真の後方、現在はブドウ畑になっている北向き斜面にブドウ畑は見えません。）

私達はジルの時代にコレのシャブリの取り扱いを始め、ジルの造る剛直な、シャブリらしい重量感のある切れ味を楽しんでいました。息子のロマンの時代になり、ジルが一つの区画で15年以上前から始めたビオロジックによる葡萄栽培の成果を確認し、ドメーヌの畑を全面的にビオロジック栽培に転換して行きました。これまでの剛直な酸味に加えてビオでの栽培、天然酵母での発酵によってワインはより複雑に広がりのある味わいに進化してゆきました。

 ドメーヌ ジャン・コレは、既にミッシェル・ベタンヌ等のワイン評論家からはシャブリのドメーヌでトップランクの扱いを受けていましたが、この度、フランスのワイン雑誌の老舗ラ・レヴュー・ド・ヴァン・ド・フランス誌の年鑑のLe guide des meilleures VINS de france 2023で星付き（一つ星）をようやく獲得しました。昨年、初めて星無しで掲載され、2年目にして一つ星を獲得、このペースで上り詰めるのもそんなには時間がかからないことでしょう。

下記に抄訳をご紹介します。
今回の評価ではジャン・コレのヴァイヨン、モンマンが高く評価されています。

ドメーヌ ジャン・コレ
多くのレンジのワイン（一部、2018年にオーガニック認証を取得）を所有する、ダイナミックな家族経営のドメーヌへ、2009年にロマン・コレが加わりました。（※実際は2008年）
彼は繊細なテイスターであり、外国やフランス国内で多くの経験も積んでおり、あらゆるタイプの育成方法を実験しながら、人的介入を制限する作り方を実践しています。：いくつかのワインではアンフォラやコンクリート・エッグで醸造や育成が行われています。ここでは、テロワールが素直に反映される、成熟したワインが見受けられます。全体のレンジの評価として、今年は1つ星への昇格に値するドメーヌになります。

ワイン：
・シャブリ レ・トリュフィエール
Les Truffieresは、厳格で緊張感のある特徴を持ち、程よいフレッシュさを備えた、バランスのよい成熟したワインです。＊ジャン・コレが最初にビオロジック栽培を始めた畑（訳者注）

・シャブリ プルミエ・クリュ モン・ド・ミリュー
Mont de Millieuはフレッシュさが前面に出たワインではありませんが、ふくよかで骨格をかたどる苦みを持っております。

・シャブリ プルミエ・クリュ モンマン
精密で輝くMont-mainsは、そのバランスの良さと正確な香りで飲み手を魅了します。

・シャブリ プルミエ・クリュ ヴァイヨン
Vaillonsはレモンや白コショウのノートが感じられ、飲みごたえのある、肉厚でエネルギッシュなワインになっております。

・シャブリ プルミエ・クリュ セシェ
よりデリケートでフレッシュなSecherは主張のあるビターな味わいと、明瞭なフレーバーが特徴です。

・シャブリ グラン・クリュ ヴァルミュール
肉付きが良く、なでるような性格のValmurはとても魅惑的です。その広がりと鋭さは、味わい深い果実味と優れたスパイスの余韻を伴っています。

・シャブリ グラン・クリュ レ・クロ
堂々としたles Closは、力強さを感じさせます。ドライなエキスがたっぷり含まれた噛み応えのある味わいは、余韻にしっかりとしたコクをもたらします。

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市場はブルゴーニュワインの高騰、品薄状況に拍車がかかってきています。シャブリも例外ではありません。
私達はドメーヌ　ジャン・コレとの30年以上もわたる良好な関係のおかげで、この困難な年にも例年より多くのワインを割り当てていただいており、在庫状況は潤沢です。また、価格についても高騰までは至っていませんので、今のうちに入手されることをお勧めします！