ポルトガルのワインのコラム
ポルトガルスパークリングワイン for X'mas
ポルトガルワインコラム、本来でしたら前回に続き、ポルトガルワインとポルトガル食文化の楽しさをご紹介する予定でしたが、クリスマス向けにスパークリングワインの紹介をしてほしいとのお声掛けをいただき、ポルトガル産スパークリングワインのご紹介に変更いたします。この時期を彩るスパークリングワイン選びのご参考になればと思います。
ポルトガルは南北約650km、東西約200kmで北海道の1.1倍程の小さな国土で国の西側は全て大西洋に面し、東側はスペインに接しています。また、北側は山地が多く、南側は平坦な土地がスペインまで広がっています。ポルトガルのほぼ全域で葡萄が栽培されワイン造りが行われていて、気候、風土の多様性から様々な味わいのワインが産み出されます。しかも紀元前2000年から葡萄作りワイン造りが行われ、現在、認定された葡萄品種だけでも250種を誇ります。知られざるワイン大国、それがポルトガルなのです。
そんなポルトガル、今では全てのワインのカテゴリーに於いて、世界レベルを超えたワインが続々と輩出されている注目の産地です。赤、白、ロゼ、酒精強化ワイン、そしてスパークリングワインまでポルトガル各地で個性豊かなワインが生産されています。
世界的に有名なポートワインやマデイラワイン等の酒精強化ワインに比べて、ポルトガルでのスパークリングワインの歴史はそれ程長くはありません。しかしながら良質の原料ブドウ、スパークリングワインに合った気候風土を持つ生産地、そしてスパークリングワイン造りの技術の急速な進展がこの地のスパークリングワインを世界レベルにまで押し上げました。
ポルトガル最高のスパークリングワインはと聞かれれば、ポルトガルワインを熟知した方なら即座に 「ムルガニェイラ」 との返事が返ってきます。ムルガニェイラはポルトガルのスパークリングワイン造りを牽引してきた生産者です。1960年代、スパークリングワイン造りに魅せられたオーランド・ローレンソさんはシャンパーニュに修業し、シャンパーニュ造り手の技術を身に付けて帰国、自らの故郷タヴォーラ・ヴァローザの地にムルガニェイラを創業しました。
このタヴォーラ・ヴァローザはポルトガル中北部の山地で標高が高く冷涼な産地、この地の葡萄は酸が強いのが特徴です。シャンパーニュ地方は緯度が高く葡萄栽培の北限に近い寒冷な地域ですが、このタヴァ―ラ・ヴァローザも同様にスパークリングワイン造りに重要な酸味を持った葡萄の育つ環境です。オーランドさんはこの地でシャンパーニュ地方と同様のスパークリングワイン造りを開始し、僅かな間に比類のないスパークリングワインを造り出す生産者と認められる様になりました。彼はポルトガル各地の生産者にスパークリングワイン製造のノウハウを与え、ポルトガルのスパークリングワイン全般の大きな進化にも貢献しています。
今ではポルトガル全土の高級レストランでの定番スパークリングワインとして使用される一方、ポルトガルで気を遣う方を訪問する時の手土産はムルガニェイラと言われるほどで、日本の「とらやの羊羹」の様な存在だと現地の方から聞きました。流石ワイン大国ポルトガルだと納得させられました。
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タヴォーラ・ヴァローザ、標高の高い涼しい環境から生み出されたマルヴァジア・フィナ種を中心に造られます。一旦、白ワインを醸造し、ボトルに入れるときに僅かな糖と酵母を添加、瓶内で酵母が糖分を分解し炭酸ガスとアルコールに変えます。その炭酸ガスをそのまま残して、中の澱を取り除きコルクを打栓したのがシャンパン方式のスパークリングワイン造りです。
地下65mの青色花崗岩のトンネル内で長期、このワインで36か月熟成されます。正にシャンパーニュと肩を並べる芸術的なスパークリングワインです。
マリア・ゴメス スパークリングワイン
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もう少しカジュアルにスパークリングワインを楽しみたい方には、ムルガニェイラより大西洋寄りのワイン産地バイラーダを代表する造り手 「ルイス・パト」 さんのマリア・ゴメス スパークリングワインは如何でしょうか。
マリア・ゴメスは全国的にはフェルナン・ピレスと言う名前の葡萄ですが、バイラーダの地にマリア・ゴメスさんが持ち込んだ葡萄とされ、その名が今でも使われています。ムルガニェイラと同様にシャンパン方式で丁寧に造られたマリア・ゴメス スパークリングワイン、ムルガニェイラに比べて洋梨や柑橘の味わいが高く、辛口仕立てですが実にフルーティーな味わいのワインです。
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そしてパーティーでみんなとお楽しみいただくスパークリングワインは、北部ヴィーニョ・ヴェルデ地方に本拠を置く 「ボルゲス社」の人気ワイン ガタオのスパークリングバージョンは如何でしょうか。ほんのりとした甘みを感じさせるタイプで、パーティー会場では人気の一本です。クリスマスパーティーには最高の相性ですが、お正月のおせち料理ともよく合うタイプの味わいを持っています。
ご紹介した何れのスパークリングワインも、シャンパーニュと同じ瓶内2次発酵で造られたワインです。独特の細かな泡立ち、旨味をお楽しみいただけます。